夜の時計美容に新知見。
現代の睡眠環境に負けず
美肌を育む3つのチカラ
エイジングケア研究
総合研究所 化粧品研究所
開発担当研究員 古元
2024年9月時点
現代人の睡眠時間は、ますます短く!
お肌への影響も見過ごせません
睡眠は人間にとって大切な時間ですが、時代と共に睡眠時間は短くなっており、せっかくの肌を再生する時間が減っています。
睡眠不足は、肌荒れや毛穴の開き、乾燥肌など様々な肌悩みにつながります。
しかし、忙しい毎日を過ごす女性にとって簡単に解消できない問題であることも確か。そこで、睡眠時間が取れない方でも、肌の調子に悩まず、生き生きと前向きになれる方法はないかと考えました。
時計遺伝子*に再注目。酸化ストレスで
大切な一日のリズムが乱れ、
一番影響が大きいのは「夜」
肌の再生リズムにおける時計遺伝子の動きについてあらためて着目しました。体のリズムは、時計遺伝子という遺伝子によって決められていて、簡単に言うと、夜の遺伝子(BMAL)、朝の遺伝子(PERIOD)の量によって、1日のリズムを刻んでいます(時計遺伝子リズム)。また、肌の再生(細胞分裂)は、夜に起こることも分かっています。
しかし、この時計遺伝子のリズムが、日中に浴びた紫外線や、スマートフォンのブルーライトなどで発生する酸化ストレスによって、崩れてしまうことが分かりました。
さらに酸化ストレスは、朝よりも夜に大きな影響を持っており、先に挙げたブルーライトやエアコンで乾燥した室内環境などで夜に酸化ストレスにさらされると、酸化ストレスと戦う力が低くなり、さらには、肌の弾力に関与するⅢ型コラーゲンも低いままとなることが分かりました。
環境に負けず、夜の肌再生を最大化するための3つのチカラ
そこで、夜の肌再生を促すためには、①夜に酸化ストレスを与えないこと、②睡眠時に起こる肌再生を引き出すこと、③再生に必要なエネルギーを生み出すことの3つを同時に実現することが重要だと考えました。検証を重ね、抗酸化力によって酸化ストレスに対抗でき、睡眠時に産生される成長ホルモン様作用を持つ「トウキンセンカエキス」、再生時に必要な細胞エネルギー促進作用をもつ「アルテミアエキス」、老廃物を除去して、細胞を元気にする「サーチュインS6」の組み合わせが有効だと見出しました。肌の再生を最大限引き出すことで、ハリやくすみの解消等が期待できると考えます。
時計遺伝子のリズムが乱れる原因は何か、そしてそれは肌にどのような影響を起こすのかを突き止めるのに、約1年かかりました。睡眠時間が取れずに肌の調子に困っている方でも、毎日楽しく過ごしていただけるように、という思いを胸に、新たな知見をどん欲に取り入れて活かしながら、これからも研究を進めていきます。
*時計遺伝子は、体内時計をコントロールする遺伝子のこと。