Vol.06

白麹の発酵が拓く
新境地!
重要な「基底膜の
コラーゲン」へ

エイジング研究

総合研究所 ビューティサイエンス研究センター
開発担当研究員 小澤
2023年9月時点

肌にとって大切なコラーゲンの‟吸収”へのさらなる挑戦

肌のコラーゲン状態を良くする目的の素材・原料は世の中にたくさん存在し、また多くの研究がなされています。しかし、研究を進めてみると、実際は吸収されにくかったり、機能しなかったりと、せっかくの良い成分が役割を果たせず、断念することも多々あります。そういったジレンマを解消できるような新たな素材の開発を目指しました。

「白麹」による“発酵”がもたらす驚きの効果

通常コラーゲンは、加水分解することにより低分子化(さらに細かく裁断すること)され、吸収されやすくなります。しかし、今回は低分子化のために‟発酵”という別の手段を使いました。発酵は、微生物により産生される有益な成分変化も期待できるためです。
発酵させる菌として、数ある中から「白麹」に着目しました。「白麹」は、昔から酒造りをしている人の肌は綺麗という良いイメージがあったためです。実験を進めてみると、実際に、その機能は大変優れていました。これまでよりもコラーゲンを低分子化することができたのです!細胞に取り込まれやすく、さらに、その中でコラーゲンを構成するペプチド(コラーゲンが酵素で分解されて、アミノ酸が複数結合した状態のこと。コラーゲンの状態のままに比べて分子量が小さく、吸収がスムーズに進むという利点があります)が多いという、いいことづくめでした。

肌の基底膜からコラーゲン構造に作用

特筆すべきは、皮膚の基底膜の構成成分である3つの種類のコラーゲン(Ⅳ型、Ⅶ型、ⅩⅦ型)を増やせること。(図1〜3:コラーゲン合成量比)基底膜とは、皮膚の表皮(表面にある層)と真皮(奥にある土台の層)の間に存在しているとても薄い膜構造で、肌を支える重要な役割を担っています。この基底膜が紫外線などのダメージで壊れてしまうと、表皮が真皮に落ち込み、シワの原因となってしまいます。その重要な基底膜のコラーゲン構造に働きかけることができるのです!

図1〜図3:コラーゲン合成量比

確証を得るまで正確な評価を繰り返して

白麹に決定するまでは大変な道のりでした。
5種類まで候補を絞り込み、さらにそれぞれを低濃度から高濃度まで濃度を何点か評価するので、大変な試験数になりました。そしてその試験系を1回だけではなく、何度(3回以上)も繰り返して同じ結果が出て初めて、効果のある素材として提案することができるのです。評価する細胞も生き物なので、常に同じコンディションを作るのも難しいです。それだけに、白麹発酵の優れた特性を証明し、確証をもって提案できたことはとても嬉しく、研究者としての自信にもなりました。アテニアは、この最新の研究成果を多くの商品開発に反映していきます。