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季節を彩る花の写真&エピソード

フォトグラファー・今道 しげみさんとのコラボレーション

撮影:
今道 しげみさん

フォトグラファー&フラワーデザイナー。
花や果実、料理をモチーフに、一眼レフカメラで暮らしの中の美しく幸せな時間を切り取る「リビングフォト」スタイルを確立。写真教室も主宰し、全国からの受講者は5,000名を超える人気講師です。
http://livingphoto.jp/

▼ Web限定 全14ヵ月分を公開します ▼

【花材】
バラ(ゴースト・オリエンタル キュリオーサ)ケイトウ・ヒペリカム紅葉

2021年11月
イソップ寓話
バラとケイトウ
(文学・ギリシャ) 

子どもの頃に、『うさぎとカメ』『アリとキリギリス』『北風と太陽』などの物語を聞いた事があると思います。これらイソップ物語の歴史はかなり古く、紀元前6世紀(日本だと縄文時代)まで遡ります。
現在、イソップ物語として語り継がれているものは、400話を超えると言われています。その中から花が主人公になっている『バラとケイトウ』をヒントに花を活けました。『バラとケイトウ』はこんなお話です。

『バラとケイトウ』
バラのそばに生えているケイトウが、バラに言いました。「あなたは何てきれいなのでしょう。神さまにも人間にも喜ばれるし、よい香りもして、幸せですね」「でもわたしは、ほんの数日しか生きられないのですよ。ケイトウさん。誰かにつみ取られなくても、しぜんにしおれてしまいます。それにひきかえ、あなたはいつまでも花を咲かせていて、いつまでも若くていいですね」しばらくの間だけ贅沢や楽が出来るより、つつましくても健康で長生き出来る方が幸せなのです。(「福娘童話集」より引用)

【花材】
アネモネ・フランネルフラワー・クリスマスローズ・グリーンベル・アスナロ・ブルーバード・ブルーアイス

2021年12月
アルプスの少女ハイジ
(文学・スイス)

ヨハンナ・シュピリ原作の『アルプスの少女ハイジ』は今でも度々再放送される人気アニメです。スイスの架空の山村を舞台にしたこの物語には、自然の中に咲き乱れる可憐な花々の様子が繰り返し描かれています。
今回は、スイスやオーストリアの国花にもなっている「エーデルワイス」に似た、白くてウールのような手触りの「フランネルフラワー」を選んでみました。
都会の生活になじめないハイジが何よりも恋しく思ったのは、意外にも強い風に吹かれるモミの木の音でした。木々に囲まれた山の暮らしで、ハイジも元気を取り戻すお話でしたね。

【花材】
バラ(イブピアジェ・ラシャンス・シフォンドレス・葵フーガ・ストロベリーモンローウォーク・フレーズバニーユ)・アルストロメリア(グリーンモジャ)・利休草・ローズゼラニウム

1月
ナポレオンの妃
ジョゼフィーヌの
愛したバラ
(歴史・フランス)

約200年前、一人の女性がバラの歴史を大きく変えたと言われています。洗練された美意識の持ち主だったナポレオンの皇后ジョゼフィーヌは、パリ郊外のマルメゾン城を改装し、その庭に世界中から多くのバラを集めました。(夫が戦争中の英国ともバラについての情報交換及び苗の収集をしていたそうです)
美しいバラも咲くのはほんのひと時。その美しい姿を記録するために雇われたのが、植物画の天才画家、ルドゥーテでした。『Les Roses(バラ図譜)』は、1817〜1824年にかけてジョゼフィーヌの庇護のもとに刊行されたルドゥーテの植物画の最高傑作です。その書籍の一部をバラと一緒にスタイリングしました。

【花材】
スイートピー・ブルーフレグランス・豆の花・スナップエンドウ

2月
ジャックと豆の木
(民話・イギリス)

『ジャックと豆の木』は古くからの民話ですが、ミッキーマウスが出てくるディズニー作品など色々な国や時代によって登場人物を変えてリメイクされています。天空高く豆の木が伸びて巨人から宝物を取り戻すという話は共通のようです。
豆の木が伸びる様子に驚いたり、巨人の金貨とハープをこっそり盗んで追いかけられるスリルに子どもの頃はドキドキしました。
昨年さやえんどうを畑で育てたのですが、驚くようなスピードで蔓が伸びるので、天空まで届くのではと思わず想像してしまいました。

【花材】
ラナンキュラス・チューリップ・バラ(ブルーリボン)・ライラック・スイセン・アルストロメリア(グリーンモジャ)・ルピナス・フェチダス

3月
ジヴェルニーのモネの庭
(美術・フランス)

パリから北西に70キロほど離れたジヴェルニーという村に印象派の巨匠、クロード・モネが暮らした家と庭があります。日本庭園を模した太鼓橋がある『睡蓮』の池は有名ですが、家の前にあるバラのアーチが美しい「クロ・ノルマン」という庭園はモネが自ら手入れをしていました。今でも彼の愛した季節の花が美しく咲いています。そのバラのアーチはフレンチグリーン色で塗られており、写真の木箱も同じ色で塗装してみました。
モネは食にもこだわりのあった人だと伝えられていて、残された静物画の中にも蔓で編んだトレーにのせたフルーツタルトが描かれています。ノルマンディー地方なので、リンゴのタルトだったのではないかと想いを馳せながらコーディネートしました。

【花材】
チューリップ(アルマーニ・マスコット・ラブダンス・グレイ)

4月
オスマン帝国の
チューリップ
(歴史・トルコ)

オスマン帝国は、1453年に東ローマ帝国を征服すると、現在のトルコを中心に地中海の半分を覆うまでに領土が拡大します。そのオスマン帝国の皇帝が国の花として特に珍重したのがトルコ原産のチューリップでした。コンスタンティノープルにあるトプカプ宮殿のタイル装飾や、皇帝の衣装、宝石のモチーフとしてもチューリップの模様が多用されています。トルコ語でチューリップは「ラーレ」と呼ばれ、「赤い花」という意味がある事から、今回は赤いチューリップを選びました。

【花材】
フリルパンジー・ローズマリー・セリンセ・コデマリ

5月
シェイクスピアの
真夏の夜の夢
(文学・イギリス)

ウィリアム・シェイクスピアの戯曲の中には、多くの花々が登場します。『真夏の夜の夢』ではパンジーから絞った汁が「惚れ薬」として登場します。眠りについている間にこの薬をまぶたに塗られたら、目覚めて最初に見た人に、男であれ女であれ、激しく恋してしまうとか。波乱を呼ぶ危険な匂いしかしませんよね。
今回はパンジーと一緒に薬瓶もスタイリング。物語中の惚れ薬からイメージを膨らませて手作りしたラベルも貼ってあります。

【花材】
アジサイ・もみじ・斑入り業平竹

6月
万葉集の紫陽花
(文学・日本)

『万葉集』には植物を詠んだ歌が約1500首もあると言われています。春はすみれや藤の花、夏はよもぎやつつじ、そして秋には桔梗や藤袴など、今でもみかける花々がほとんどです。月草(つゆ草)など、青や紫色の花も沢山あります。その中から、梅雨の時期に咲く紫陽花を選んでみました。紫陽花が詠まれている歌をご紹介します。「紫陽花の八重咲くごとく八つ代にをいませ我が背子見つつ偲はむ」。紫陽花の花が八重に咲くようにいついつまでも栄えていてください。あなた様を見仰ぎつつお慕いいたします、という意味です。
紫陽花の原産は日本で、「ガクアジサイ」と呼ばれる品種です。ガクアジサイを元にヨーロッパで品種改良されて日本に渡って来たものが、現在の一般的に知られている「手まり咲き」で、写真でも使用しているものです。

【花材】
ヤグルマギク・シダ(アンブレラ)・グミの葉・ミツバイチゴ

7月
世界最古
ネアンデルタール人の花束
(歴史・世界)

最初に花が束ねられた痕跡をたどっていたら、5~6万年前から花束を手向ける習慣があった事を知って衝撃を受けました。1960年代のはじめに、アメリカの考古学者ソレッキ博士がイラクのシャニダール洞窟発掘の報告の中で、ネアンデルタール人がヤグルマギクなどの花を添えて幼児を埋葬していたと発表しました。薬草として使われたのかもしれませんが、美しい色に不思議な力を感じたのでしょう。
ヤグルマギクは英語ではコーンフラワーと呼ばれていて、最高級のサファイアの色を「コーンフラワーブルー」と称するのだそうです。この花を好んだマリー・アントワネットがデザインしたと言われる洋食器をスタイリングしてみました。

【花材】
ひまわり(ゴッホのひまわり・モネのひまわり・UPSオレンジ・ライチ・レモネード)

8月
ゴッホのひまわり
(美術・フランス)

パリから明るい南フランスのアルルにアトリエを移したゴッホが描いた代表作です。ひまわりの絵は7枚描かれました。人物を描く画家を目指していたゴッホにとって静物画は絵画の技法を磨くための手段で、花は色彩を研究するための主題だったと言われています。反対色を組み合わせると色が鮮やかに見える事を試すために、ひまわりの絵も初めの数枚は青い背景で描かれています。
色彩の研究として描かれた『ひまわり』から、象徴としての『ひまわり』へ。世界で最も人の心を惹き付ける花の絵画です。ロンドンの骨董店で見つけた、長年使い込まれたパレットをひまわりの足元に添えてみました。

【花材】
リンドウ・クレマチス・アスター・ナルコ・リキュウソウ・ヒオウギの実

9月
源氏物語(文学・日本)

青紫の花が美しいリンドウは『源氏物語』の「夕霧」にも生命力の強い花として登場し、源氏とのかかわりも深く文様としても多用されます。『源氏物語』に登場する植物は合計123種類。それぞれの花が季節を背景に物語の演出に効果を与えているのですが、「桐壺」「藤壺」「夕顔」「藤袴」そして著者の「紫式部」と、特に紫色の花が重要な彩りを添えています。
また写真には白檀の薫香と、「源氏香」と呼ばれる数種類の香の違いを聞きわける香道をスタイリングしてみました。香道の折本は「源氏物語54帳」に因んだ「源氏香の図」で、香りの組み合わせを図形で表現したものです。

【花材】
バラ(フェアビアンカ)・コスモス・クレマチス・スターチス・フジバカマ・シダ・キイチゴベビーハンズ・リンゴ

10月
赤毛のアン
グリーン・ゲイブルズの花束
(文学・カナダ)

『赤毛のアン』の物語の中には60種類以上の植物が登場します。作者モンゴメリーはガーデニングが好きで、丹精した花を家中に飾っていました。
アンが初めてグリーン・ゲイブルズを訪れた時に「歓喜の白路」と名付けた満開のリンゴの花咲く並木道をイメージして、同じバラ科植物の小ぶりの白バラを選びました。妄想と読書が好きなアンのティータイムを表現したスタイリングです。

【花材】
菊(白色スプレー=フェリー・ピンク色スプレー=オーロラ・黄色=リワインドサン・白色=かがり弁・オレンジ色=トムピアーズ・カラフリア・サーモンピンク色=シルキーガール)

11月
ルノワールの菊の花
(美術・フランス)

ファインアートの歴史において印象派の画家の出現は、それまでの古典的な写実主義とは違うものとして注目を浴びます。東洋と西洋の美意識の交錯によって表現されることも多く、印象派を代表する巨匠ルノワールはオリエンタリズムへの憧憬として絵画の題材に菊の花を選んでいます。同時期のドガもキャンバスいっぱいの菊の花と女性を描いています。
今回は1882年に描かれたルノワールの絵画をイメージして、緑の器を使い、品種改良されて華やかになったいくつもの菊を大胆に活けて撮る事にチャレンジしました。

【花材】
バラ(ファンファーレ・スパークリング グラフィティ)

12月
星の王子さま
(文学・フランス)

フランスの作家サン=テグジュペリの小説『星の王子さま』はサハラ砂漠に不時着した飛行機の操縦士が、一人の男の子「星の王子さま」に出会う物語です。
王子さまは星に生息していた美しい花を大切に育てていましたが、あるとき花と喧嘩別れをして、地球へやってきます。そこでその花は、ありふれたバラの花だったと知り落胆します。しかし地球で出会ったキツネから「君が手間ひまをかけて世話をしたバラはたった一つのかけがえのないバラなんだ」と伝えられます。さらにこんな秘密も教えてくれます。「心でみるんだよ。大切な事は目に見えないんだ。」
今回の写真はサハラ砂漠で採れた「砂漠のバラ」と呼ばれる花びらの様に結晶化した鉱石とバラを活けました。シンプルですが、大切なバラが浮き上がって見えるように撮るのに一番腐心しました。大切な事を伝えるのは難しいですね。